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代表ブログ

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2024年

世界は?日本は?どうかわる?

G7の中でワーストワンの財政状態の国・・・・日本はこれから大丈夫なのか?

存在感が埋没して、1994年には世界のGDP(その国の付加価値の総計)の18%だったが2023年には4%まで低下し続けています。その間に中国、ドイツ、さらに2025年にはインドに抜かれるのだそうです。

人口の減少高齢化、円安(GDPはUSドルベース)、なによりも企業の国際競争力低下による付加価値の減少が深刻だそうです。そんな経済状況が続いて国民の「給与水準」も上がらず低所得にあえいでいます。


アベノミクスの功罪

国は経済対策として2010年からアベノミクスに代表される異次元の金融緩和策と財政出動で経済を刺激したがマネタリーベースは6倍にしたものの肝心な融資残高が1.5倍しか増加せず、企業の実体経済(GDP)が向上に結び付きませんでした。企業は実体経済が冷え込んだままだと投資案件がありませんから銀行借り入れを行いません。異次元の金融緩和の政策インフレ策だけで経済は良くなる訳がないですよね。(笑)

ただ、アベノミクスはこの異次元の金融緩和や日銀のかETF買いや公的年金GPIF買い株式市場は活況を呈し2010年10,000円から2024年10月18日には約4倍38,981円となり、株式投資している人とそうでない人の格差が広がっています。

アベノミクスの弊害は日本の財政が大幅悪化し、公的債務が370兆円も増加したことです。

つまりその金融の異次元緩和策は市場から国債を積極的に購入、現在600兆円も保有しています。日銀が保有している長期国債は発行済み残高の55%となっています。

ETF買いや公的年金GPIFと同じくアベノミクスは日銀がやってはいけない禁じ手をやってしましました。この債務過多のつけは孫子の世代の負担になってきます。

因みに、日本公的債務の残高はGDPの250%を超えています。格付けも韓国15位や中国23位の後順位の25位となっています。 


財政の健全化の具体的かつ地道な実行ができなければ財産税・・・

この巨額な債務、職業柄か気になって仕方ありません。一般企業でしたら年商の2.5倍の借金は返済不能で倒産してしまう水準です。

 しかし、日本は公的債務の引き受けが殆ど国内投資家で心配ないとか?

正常な金融政策にいつ戻れるのか? 消費者物価がさらに上昇しインフレになっても金利を上げられない金融政策はいつまで続けられるのか? しかし7月に日銀が金利引き上げの政策転換をコメントしたとたんに、日経平均が4,000円以上も急落してしまいました。低金利政策からの正常化への転換は相当難しいと思います。

また、異常な円安は国内の財産を海外投資家への大バーゲンの大安売りとなるがこれをいつまで続けるのか? 日本を代表する流通大手のセブンイレブングループの海外資本(カナダ)からの買収ニュースのショックを受けています。いずれにしても金利を上げると株式市場は大暴落、何よりも困るのは日銀の大量の国債など保有資産が目減りし、下手をすると日銀の貸借対照表が債務超過に陥ってしまいます。日本の信用度格付けがさらに下落してしまうとんでもないことになってしまいます。

ですから、これから大量の国債を保有している間、金利水準は低いままで推移していくように思います。

円安も当分の間続くように思います。


 災害発生や地政学上のリスク

最近、自然災害が頻発する日本では、例えば南海トラフ大地震や関東直下型地震、富士山噴火などの大災害がいつ発生してもおかしくありません。さらに地政学上侵略国家ロシアや北朝鮮、中国が隣国であること、台湾海峡の戦闘状態は日米安保の同盟関係から沖縄から米軍機が緊急発進され日本も戦争に自動的に米中戦争に巻き込まれます。もちろんそうならないことを祈っていますが、日米安保条約の強化より見直しが日本国にとって最も重要な課題だと考えます。

世界の動きは戦争の危険度を増しています。そんな非常事態に備えるための基本理念や知恵が日本の将来安定のために不可欠です。しかしもうそんな時間がありません。残念ながらそんな事態に陥った時、復興の鍵は個人や国の財政力に掛かっています。

財政が行き詰まったら、第二次大戦の敗戦後の財産税の例に従い資産家から強制的に臨時税を徴収することにならなければよいのですが・・・?


 新政権の提唱する災害庁構想に賛成です。日米安保の条約の見直しも重要です。その前提として国の財政健全化の具体策を実行してもらいものです。

 来る10月27日は国の将来を選択する衆議院選挙です。目先のことより国の存続安定の視野をもって選んでいきたいと思います。


2023年

経営者保証

中小企業経営者の個人保証が変わります

 日本では、金融機関が中小企業等に対して融資する際に、慣行として経営者個人に連帯保証を求めています。これを経営者保証といい、戦後の経済成長期に広がり、会社が経営に行き詰まり返済が滞った場合、経営者個人が会社に代わって返済します。
 金融機関にとっては、会社に対し資金を貸しやすくなり、また、ガバナンスや情報の開示等が充分でない中小企業等の経営の規律付けや信用補完としての機能していました。
 本来、会社法上の基本的な考え方は、株式会社などの株主は経営に対し出資金額を限度として有限責任を負うものであり、仮に会社が倒産しても、原則的には会社の借入金等の債務が経営者個人の財産まで及ぶことはありません。
 しかしながら、経営者保証がある場合には、経営者個人が会社の債務を返済しなければならなくなります。その場合は会社が倒産した際に、経営者個人に会社の負債に対して保証債務の履行義務が生じ、最悪の場合自己破産しなければならい状況に追い込まれます。そのようなリスクから、経営者の思い切った事業展開、次世代への事業承継、ニュービジネスの起業、早期の事業再生を阻害する要因となっていました。
 これを改善することが中小企業経営の活力を高め、しいては日本経済の成長戦略に繋がると思います。
 政府としても、起業や新事業への投資を促している中、このような課題を改善するために「経営者保証改革プログラム」を策定し、経営者保証に依存しない融資慣行の確立を実現・加速するための取り組みを2023年4月から開始しています。

 具体的には、金融機関は融資実行の際、保証契約が必要な場合、保証契約が必要とされる理由及び、どのような改善を図れば保証契約の変更・解除の可能性が高まるのかを経営者に説明しなければならなくなり、更には、保証人に対する説明内容を記録として残すことが義務化されました。
ただし、注意すべき点は、金融機関が経営者保証を求める際のハードルは上がったものの、今回の制度改革により全ての融資において経営者保証がなくなるわけではないことです。あくまで、経営者保証を求める場合は、その理由を説明することを金融機関に義務付けるものであり、経営者保証そのものを禁止するものではないということです。

今回の変更は、本来の金融機関の機能である、事業のリスクを事業の将来性やビジネスモデルそのものを独自に評価して融資を実行することを促すものです。また、経営者にとっても事業上のリスクを個人のリスクから切り離し、新たなチャレンジを促すものです。

最後に、
経営者保証の変更は、経営者にとって融資が受けやすくなるというものではないこと。
経営者保証を必要とされないより有利な融資条件を引き出すためには、経営者は財務内容の改善、情報開示、コンプライアンス等公私混同の排除、これまで以上に説得力のある事業計画を策定し、これを実行していくことが求められると思います。
弊社としても、事業計画の策定等について、認定経営革新等支援機関としてより重点的に支援の強化を図ってまいりたいと考えております。


(参考)経営者保証を付けずに融資を受けるための3要件
中小企業、経営者、金融機関共通の自主的なルールである「経営者保証に関するガイドライン」(2014年2月適用開始)において、経営者保証を付けずに融資を受ける場合(既に提供している経営者保証については見直す場合)に満たすべき3要件を定めています。
①資産の所有やお金のやり取りに関して、法人と経営者個人が明確に区分・分離されている
 例)事業を行う上で必要のない法人から経営者への貸し付けは行わない
②財務基盤が強化されており、法人のみの資産や収益力で返済が可能である
 例)内部留保は潤沢ではないが、継続的に返済原資となる利益を計上している
③金融機関に対し、適時適切な財務情報が開示されている
 例)年1回の決算報告に加え、定期的に試算表、資金繰り表等を借入金融機関に提出し、業況報告を行う

ゼロゼロ融資の返済始まる

いよいよ「ゼロゼロ融資」の返済が始まっています。
2020年からのコロナ経済危機下、「ゼロゼロ融資」制度は財務体質の脆弱な中小企業にとって急場を凌ぐ大変ありがたいものでした。社会経済活動の制限は企業の売上減少となって、運転資金不足をきたした企業が多くありました。
 そこで、政府はコロナ禍の経済対策の一つとして「ゼロゼロ融資」を創設し、日本政策金融公庫や民間金融機関(政府保証付き)から中小企業者に対して積極的な貸付が行われました。
 その内容はコロナ禍で売上が減少した企業に、実質無利子・無担保で融資を行うものであり、多くの企業が据置期間を設けており、民間金融機関からの融資については、令和5年7月から令和6年4月にかけて返済開始がピークを迎える予定です。

 しかし現実は、残念ながらコロナ経済危機が過ぎ去っても、コロナ前の顧客が戻ってこなく売上が回復しない企業もあります。例えば、コロナ不況業種から他の安定業種へ人材が流出したため、人手不足により十分なサービスが提供できないことや、テレワーク普及、夜の接待の敬遠など健康志向になったなどの人々のライフスタイルや価値観の変化していることが考えられます。

売上が回復せず資金繰りが厳しい企業からの相談としては以下のようなものあります。
①借入している金融機関に対して約定した返済期日を待ってもらう(返済猶予)
・当初の借入契約の条件変更になり、融資先企業の格付け(10段階)が低下する
・その結果、格付け低下(リスク大)に伴い金利水準が高くなる
・また、ニューマネーの借入ができなくなることに注意しなければならない
 *少なくともリスケ期間中は信用保証協会による保証は受けられません

②新たな金融機関から資本性融資(金融機関が企業の財務状況を判断する際、負債ではなく資本とみなす借入)を受ける
・既借入先金融機関で返済猶予してしまうとノーチャンスとなる
・既借入先金融機関の同意が必要となる(新たな融資を行ってもらう)
・将来の実現可能の高い経営改善計画を提出し、金融機関の納得を得る

③自主廃業を考える
・既存借入金を資産売却などで返済可能であること
・事業を継続して支えてくれるスポサーを見つける
・事業買取り(M&A)、ただし金融機関の借入金があると難しい

 先日、日銀の植田総裁はしばらく低金利を継続するような歯切れの悪いコメント?
 私見ですが、先進国(G7)はウクライナ戦争などで世界的にインフレが進行する中で、唯一の極端な超低金利政策を続ける日本は不思議な国です。このところの円安、食糧品やエネルギー価格の高騰、人件費の上昇の勢いから、日本の超低金利政策は弊害が出始めました。10年間も続いた超低金利政策の長いトンネルの出口が近づいている気がします。
 最近の株式市場における、金融株の連日の高騰は一体何を暗示しているのでしょうか?市場金利上昇に伴い金融機関の収益性は向上しますが、一方、財務内容が悪く金融機関からの借入金が多額な企業にとって逆風が吹く時代になると思います。

以上

課税の公平性? その2

2023年08月07日

 今回の改正(相続税評価額の引上げ予定)は、都市部のタワーマンション所有者にとって影響大です。残念ながら節税目的でない方々にも大きな影響を与えるものとなります。
この改正内容は正式に通達が発布されるまで詳細はわかりませんが、ポイントは時価と相続税評価額の乖離率が1.67倍以上あった場合、相続税評価額に一定の倍率を掛けなければならない、という点です。

ちなみに、
東京都内の平均的なタワーマンションでは相続税評価額に対して時価が3.2倍(乖離率)だそうです。もちろん、時価は景気やインフレなどの経済状況によって変化しますので3年ごとに乖離率を算定することになるようです。
 評価乖離率=①×▲0.033+②×0.239+③×0.018+④×▲1.1953.220
          ①     建物の築年数を(年▲0.033)で減額
          ②     総階数(総階数÷331.0を超えたら1.0
          ③     評価対象室の所属階数
               敷地持分狭小度(評価対象マンション1室に係る敷地利用権の面積÷評価対象マンション1室に係る専有面積)
タワーマンションの時価との乖離率は建物と敷地の相続税評価額の倍率を乗じて算定されるように思われます。
なお、居住用や貸家の小規模宅地等の特例の適用に当たって、具体的な計算式はまだ明らかにされていません。

ここで疑問に思うのが、戸建て住宅に比べ、タワーマンションは敷地部分が少ないにもかかわらず、宅地面積が大きい戸建て住宅の評価はそのままというのは公平性に課題があるのではないでしょうか。
節税目的のタワーマンションは別にして居住用など何らかの調整が必要だと思われます。

タワーマンション以外にも評価額と時価との乖離に着目し、相続税対策として利用されているのが不動産小口化商品といわれるものです。
この商品は一等地のオフィスビルや居住用マンションを小口に細分化(例えば1口1,000万円)したもので、手頃な金額で金融資産を一等地の不動産に組み替えることができることから多くの資産家が購入しています。
つまり、購入価額に対して評価額の乖離が大きく、相続税対策としても人気があります。
もちろん、小規模宅地等の特例の適用も受けられます。

課税の公平性を理由に不動産小口化商品(任意組合)も改正の対象になるかもしれませんね。
今後の改正の動向が気になります。

課税の公平性? その1

2023年08月07日

 タワーマンションの相続税評価額が令和6(2024)年1月から引き上げられる予定のようです・・・。
金融資産(現預金など)は相続財産としてそのまま課税されてしまうが、その金融資産でタワーマンションを購入、その後、相続時に時価と相続税評価額の乖離を利用した相続税対策が横行したせいだろう。

どういうことかというと例えば、
高齢の父(配偶者はすでに他界)、子2人、財産は自宅8千万円、金融資産3億円だったとすると、相続発生時に相続税額が1億120万円にもなります。

これを、
金融資産3億円を利用して時価2億円のタワーマンションを購入、相続発生時にはそのタワーマンションの相続税評価額は6千万円程度になり、相続財産を1億4千万円減少させることができます。そしてその相続税額は4,540万円となり、タワーマンション購入前よりも5,580万円も節税することができるのです。

この仕組みを利用した有名な判例があります。

・札幌在住、90歳高齢者
・巨額な融資を受け、東京と神奈川に賃貸用マンション2棟購入
・その後、相続発生時に時価と相続税評価額の乖離を利用し、なんと相続税額が0円に
・相続税申告後、国税当局より税務否認(更生処分)された
・納税者側はこれを不服とし、不服審判所に申立てを行ったが棄却
・さらに国税当局を相手に相続税更正処分取消を求めたが2022年4月、最高裁判所の判決により最終的に納税者側が敗訴

最高裁判所は、一連の取引は明らかに相続税を免れる以外の目的とは考えられないと判断。つまり、不動産の相続税評価額が低いのは、不動産というものは通常、国民生活のベースになるもので、その趣旨を逸脱し、相続税対策のために利用するのはあからさまな「租税回避」であると断じました。
なお、最高裁判所の判決では時価と相続税評価額の乖離については何も触れていませんでした。

国税庁は今回のタワーマンションの相続税評価額改正について、この最高裁判所の国側勝訴で力を得たのかもしれません。
いずれにしても露骨な節税策(租税回避)が厳しい税制改正の引金となったように思います。
その2へ続く

家族信託

2023年07月12日

「親が認知症になっちゃったよ・・・」、「最近、親がおかしいんだよね・・・」
こういった相談がすごく増えてきました。
事務所開設から41年が過ぎ、すっかり私も高齢者の仲間入りです。考えてみれば古くからのクライアントの方々も同じように年をとっているわけです、当然のことですね。

 日本社会は高齢化が進み、認知症人口が600万人とも700万にとも云われています。65歳以上の高齢者の5人に一人は認知症です。認知症が悪化して判断能力(意思能力)がなくなると、重要な法律行為ができなくなるためその家族に大きな負担を強いることになります。
 例えば、本人の預金から老人ホーム入居金など多額な引き出しができなくなって家族が立替払いをする、必要なくなった自宅などの財産を売却するための手続きなどができなくなってしまいます。本人のために必要なお金にも拘らず、本人の財産を自由に使えなくなってしまうのです(財産凍結)。もちろん、譲渡、贈与や遺言書作成などの法律行為もできなくなります。
 したがって、認知症になった本人の終末期の生活にも大きな影響を与えてしまいます。

 個人的なことですが、今のうちに自分の終末期の生活(我儘な要望)を明らかにした契約、「家族信託」を私と娘で締結することにしました。
 契約の内容は、委託者は私、受託者は娘、私のメインの預金口座と自宅など不動産を娘に信託し、受託者(娘)は信託資産の適正な管理・保全・運用や処分を通して、受益者(私)の生活の安定、介護・療養や納税に必要な資金を確保及び給付し、受益者(私)の快適な老後の生活を維持していくこと、また受益者が死亡した場合、第二次受益者として受託者の娘と相続人へ円滑な資産承継を図ることを目的とするものです(遺言書としての役割)。
 税務上の扱いですが、家族信託を締結し、預金や不動産の名義が娘に変更されても、家族信託契約に基づき受益者が私ですので娘に贈与税が課税されません。受託者から受益者になる資産承継時には相続税が課税されます。
 もちろん、クライアントの方々も既に公正証書遺言を作成している方も多くいらっしゃいますが、気乗りがしなくて先延ばしにしている方もいます。その理由として、遺言書というのは相続人へのメッセージで死のイメージがある、俺の死んだ後は知るかよ・・・、財産目録を作成するのが面倒など人それぞれの理由があるようです。
 高齢者になると、認知症だけでなく事故や急病によっても判断能力を失うリスクも高まります。資産承継は多くの方が関心を持っていますが、肉体的な死の前に判断能力を失うと、その対策も全くできなくなります。
 判断能力のあるうちに、高齢者は自分の終末期の快適な生活を守るために重要な財産だけでも、早めに「家族信託」を活用することをお勧めします。          以上

思うこと

2023年05月27日

今年の給与査定はいつにもまして悩ましく・・・。
最近の経済情勢から、どこの経営者も例年にない昇給をしようと考えているはずです。

当社は貢献度の実績に基づく「年収制」をベースに給与を決定していますが、「やるべき仕事」はますます増え続けているものの、それに対応できる人財も財源も限られています。
さらに、人の異動もあり、担当の変更やクレーム対応など通常業務以外のことでも負担になっているにもかかわらず、皆で協力し頑張ってくれていることに本当に感謝しきりです。

そこで、あらたに次のような手を打とうと考えました。

  1. 働き方や仕事の仕方をAIなど(DX化)を活用し、効率化し、改善し、時間当たりの収益を向上させる。
  2. 集中と選択を念頭に収益性の高い仕事にシフトしながら、新規の仕事を獲得する。
  3. 社内でできうる業務効率化を最大限に行う、それでもカバーしきれない部分につきクライアントの皆様へ報酬の見直しをお願いする。

ただし、現実はそう簡単ではありません。

長年お付き合いのあるクライアントの中には、ここ数年、業績が厳しく報酬の見直しをお願いしづらいところもあります。最近の傾向としてクライアントの業績は二極化しています。

幸いなことに資産税関係のスポット業務も増加の一途です。
やはり、新しいニーズには、人財の適材適所を当てていくしかないと腹を括っています。


2022年

新しく企業をはじめたい方、私どもに任せてみませんか?

投稿者 Bush吉田 2022年06月20日

岸田内閣の新しい資本主義計画(「骨太の方針」)が令和4年6月7日に閣議決定されました。

その中でも特に“創業支援”が目を引きました。
新しい資本主義の担い手となるのはスタートアップ(創業)企業です。

創業時には資金が必要になりますが、創業者の手元資金だけでは不足で金融機関からの借入により資金調達するケースがほとんどです。

 しかし、事業を始めたばかりで企業としての実績がなければ、金融機関は融資には消極的です。たとえ、幸運にも融資に応じてくれたとしても、金融機関は貸倒れに備えるため創業者の個人保証や、自宅などの不動産担保を要求してくるでしょう。

もし事業に行き詰まったら、担保資産は失うことになります。
また、企業(会社)で借入れしても、個人保証すれば、企業の借入金の返済は個人まで追及されるのです。
このように創業時の金融機関からの融資は、個人の資産を失うリスクを伴い、創業意欲を喪失させるような高いハードルとなっているのが現状です。

 今回の「骨太の方針」では、このような日本特有の資金調達に対して、新に創業時の融資について、個人保証を不要とする案を検討するそうです。
また、資産を持たない場合でも、ノウハウなど無形固定資産を含む事業価値全体を担保できる仕組みを目指すようです。

このようなスタートアップ企業に対する特例措置について、具体的な適用要件はまだ明らかではありませんが、経済産業省(中小企業庁)が所管すると思われるので、創業を考えている方はその内容の把握をお勧めします。

 最後に、私ども会計事務所はTKC活動実践事務所として「認定経営革新等支援機関」(中小企業庁認定)であり、記帳経理代行、長期経営計画策定、キャッシュフロー計画立案、税理士等の税務相談やセミナー、企業経営リスク防衛、顧問弁護士による法律相談、顧問社会保険労務士による労務相談、提携不動産鑑定士やデベロッパーのアドバイス、提携金融機関の紹介など幅広いサービスとネットワークを有しております。
事業を新たにスタートするときは、ぜひ私どもにご相談ください。 
全社を挙げて協力支援いたします。

日本の将来のためのお金の使い方

投稿者 Bush吉田 2022年06月07日

今年の夏、参議院選挙が行われる。
最近の政府のお金の使い方は大衆迎合的(ポピュリズム)で、将来に不安を感じる。
代表例は、国民一人一律10万円の給付金で、困っていない人にまで支給している。
この支給総額は約13兆円、年間の消費税収の半分に当たる。
誤解しないで欲しいが、コロナ禍等で困窮した人には支給しなければならない。
しかし富裕層や高所得者にまで支給することには意味がなく、理解に苦しむ。

その他、ロシアのウクライナ侵攻による、エネルギー(ガソリン)の価格高騰に対する給付金も、営業車用のみとする知恵が要る。
例えば、ハイオクタンガソリンは対象外にするなど、自家用の車の使用が節約されればCO2削減にもなる。

 政府のお金の使い方について、1,240兆円もの巨額な借金を抱えた財政状態からは信じられない姿勢である。企業に置き換えてみれば分かりやすい。
厳しい財政状態に陥った企業の経営者は、限られたお金をどう生かして使うか必死に考える。
また、大衆迎合的なバラマキで国民を甘えさせ、しいては党利党略や選挙で優位になる算段をしていないのか?心配し過ぎかもしれない。

 今まさに混沌とした時代である。
コロナ禍、米中対立、ロシアのウクライナ侵略、これから先、世界はどうなるのか?日本はG7の先進国ではあるが、この20年間、経済が低迷し低成長から脱していない。
GDPの世界シェアも、1988年の16%から2020年には6%と、存在感が低下している。
また、一人当たりのGDPも、日本が4万ドルに対し、シンガポールは6万ドル、香港は4.7万ドル、後ろに迫って韓国は3.2万ドル、台湾は3.3万ドル、と追い上げられている。
今年2月からの円安で、GDPデータはますます深刻である。
これから日本が豊かで安心して暮らしていくために、国家の成長戦略を積極的に促すような重点投資を行わなければならない。
具体的には、国を支えている自動車産業にとって代わるような、10年後30年後、あるいは50年後を見据えて、日本の飯のタネにするべき、世界の最先端となる技術(バイオ~IPS細胞工場、エネルギー~水素燃料、核融合、次世代半導体~ガリウム素子など)に対し政府が率先して巨額な投資をするビジョンを持たなければならい時期である。
岸田内閣の新しい資本主義が発表されたが、抽象的で具体的な説得力に欠けるように思う。
この問題は、経済界も内部留保を積上げるだけでなく、リスクを取って将来を見据えた研究開発、設備投資やM&Aをしなければならない。

 400年前、歴史上世界ではじめての共和国となった、民主主義や(企業の)株式会社(東インド会社)の発祥の地、オランダでは「将来をたてないと、その国民は滅ぶ」との言葉がある。
日本は今ならまだ間に合う。
国民の貯蓄額は2,000兆円、世界一の対外債権を保有している。この時期に発想を転換して積極的に勇気をもって投資することができれば、この国の将来は明るい。
時代に適合するために必要なものができるかどうかのカギは、政治家や国民の頭の柔軟さかもしれない。

最高裁重要判決~不動産を利用した相続税対策に注意!

投稿者 Bush吉田 2022年05月02日

国側の主張を認めた最高裁、
2022(令和4)年4月19日、興味深い裁判の判決が下された。

『路線価認めず課税「適法」 最高裁判決 相続人側の敗訴決定』(日本経済新聞4月20日)
路線価に基づいて算定した相続マンションの評価額が実勢価格より低すぎるとして、再評価して追徴課税した国税当局の処分の妥当性が争われた訴訟の上告審判決で国税当局の処分を適法として、相続人側の上告を棄却した。相続人の敗訴が確定。

その内容とは・・・、
札幌市在住だった被相続人は平成24(2012)年に94歳で死亡した。
東京都杉並区のマンションを8億3700万円で神奈川県川崎市のマンションを5億5000万円(2棟合計13億8700万円)で購入。ほとんどを銀行からの借入金によって資金をまかなった。

不動産購入から約3年5ケ月後に相続が発生。
相続人は路線価に基づき3億3千万円として評価。
借入金を差し引いて相続税額「0円」として申告。
これに対して国税側は鑑定評価により評価額12億7千万円として相続税額3億円の追徴課税。一審、二審とも国側の勝訴。上告審弁論も行われ、納税者側は「恣意的な課税」と主張。

国税庁は時価の算定基準として路線価を示しているが、算定額が「著しく不適当」な場合は国税当局が独自に再評価できるという例外規定(総則6項)があり、適用の是非が争われた。
最高裁判決では路線価による評価を行うことが実質的な租税負担の公平に反する事情がある場合は例外規定を用いる合理的な理由があるとの初判断を示した。

総則6項

「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する」

→財産評価基本通達を形式的に適用するとかえって租税負担の実質的な公平を著しく害することが明らかである「特別な事情」がある場合は、ほかの合理的な方法(不動産鑑定評価)によって評価する

→相続財産の評価は「時価」 (相続税法第22条)

          →財産評価基本通達

→相続開始3年5ケ月前に不動産を借入金で購入 13億8700万円(100%)   

 財産評価基本通達              3億3370万円(24%)

                      ※10億5330万円圧縮

 鑑定評価額                 12億7300万円(92%)    

 相続税申告前に購入不動産1棟を5億1500万円で売却している

本件では相続税の負担軽減を意図して不動産の購入し実際に相続税額がゼロとなっていることが他の納税者との間に看過しがたい不均衡が生じ、租税負担の公平に反すると判断された。しかしながら、最高裁は総則6項が適用される明確な基準を示さなかった。

判決の問題点

国税当局は恣意的な適用との疑念が抱かれないような運用が求められるのはもちろん、総則6項の具体的な適用要件を明らかに示すべきである。
そうでなければ「租税の予測可能性」や「法的安定性」に課題を残す結果となるだろう。

ロシアの経済制裁の影響は?

投稿者 Bush吉田 2022年04月19日

この時代に、世界中にキーウ周辺のブッチャなどで一般市民が虐殺されている衝撃的な映像が報道されました。これが真実ならばロシア軍がウクライナ領内に侵攻して信じられないような戦争犯罪を行っています。

 ウクライナ人は2014年のクリミア占領に続き、今回の侵略を行うロシアへ敵意を抱き、ウクライナ人の命や財産、領土を守るべき愛国心に火が付き、戦う決意を固めているように思います。ウクライナ軍がしぶとく首都キーウを守備したこと、ロシア軍の旗艦モスクワを撃沈したことは予想外の戦果です。

 世界中の多くの人々は国家存亡の危機に際して一致団結して侵略国家ロシアに挑んだ姿にエールを送っています。歴史上もウクライナ人はコサック騎兵のルーツです。司馬遼太郎氏著「坂の上の雲」によれば、日露戦争でも秋山好古連隊がさんざん苦戦させられた当時では世界一の騎兵団です。13世紀中世に騎馬兵が優れた蒙古軍(タタール人)襲来し、ウクライナも含め東ヨーロッパが占領されました。蒙古の世界制覇の要因は騎馬戦の強さです。コサック騎兵は蒙古軍から学んだものだそうです。

 このようなことから、今回の戦争は東部の主要都市がロシアの占領下になっても、ウクライナ人は決してロシアに屈せず徹底抗戦し、長期化するように思います。

ロシアは歴史的にも契約(ブタペスト合意)や約束を守らない国です。余談ですが第二次大戦終戦直前に、日本はロシアから「日ソ不可侵条約」を一方的に破棄され、北方四島を不法に侵略占領されました。北方四島は明治時代にロシアとの条約により日本の領地としたところです。国連の戦勝国で常任理事国にも関わらず、戦争による領土不拡大のルールを無視している国と言えます。因みに沖縄は戦後27年間のアメリカ統治後、1972年に返還されています。

国際的にも、人は正直で真摯でなければ誰も信用しなくなるのは当然のことです。

ウクライナ人からの教訓として、今回の戦争で国を自ら防衛し凛々しい姿に対し、世界中の人々がエールを送りました。ですから、西側諸国をはじめ世界のほとんどの国が武器無償供与や人道支援に積極的に協力してくれていると思います。個人的にもウクライナ人の苦境を支援したいと思っています。(ウクライナ寄附)

そこで気になるのは、この戦争が長期化した場合、日本経済はどのような影響を受けえるのでしょうか。

① 2月24日のロシア軍の侵攻の後、急速に円安115円⇒125円になりました。今までは、東日本大震災、リーマンショック、9.11の米国多発テロ、イラク戦争が勃発した時、円は対米ドルで高くなっています。いわゆる、有事の円高となっていました。ロシア軍のウクライナ侵攻では急激な円安になりました。さらにインフレ抑制のため、米国中央銀行(FRB)の金利引き上げが行われていることも円安加速の要因となっています。EU連合の中央銀行も金利引き上げをする予定です。報道によれば、日本銀行総裁の談話で当面金利引き上げは行わないとのことです。
経営者から「川上インフレ、川下デフレ」という発言をよく聞くようになりました。

 原材料をはじめエネルギー価格の高騰でコストが上がるものの、消費者側には値上げ交渉が難しく、コストを販売価格に転嫁できないということです。価格転嫁が行われないと利益率が悪化し、赤字に陥ってしまう企業もあります。不況下のインフレ(スタグフレーション)になってしまう恐れさえあります。

② 今回の侵攻を早く終わらせるため、民主主義国家である西側諸国がロシアへの足並みを揃えて経済制裁を行いました。経済制裁を行った国の中で日本はエネルギー100%、食糧カロリーベース62%を輸入で賄っています。ロシアは資源大国で原油は世界で第三位、天然ガスは第二位です。ウクライナ侵攻後に原油価格や小麦などの価格が高騰しています。国民生活に重大な影響を与えるガソリン、電気、ガスや食料品の円安と値上げのダブルパンチで貿易収支が赤字になっています。エネルギー価格が高騰しつづけると、いずれは経常収支も赤字となって国富が海外に流失することになります。

 せめて、国を挙げて休耕農地を生かして、食糧自給率を引上げるべき政策を打ち出すべきだと思います。

③ 2012年から始まったアベノミクス、日本経済は低成長から抜け出せず、2020年のGDP600兆円を目標としていたが、結果は538兆円で失敗に終わった。

金融政策にのみ依存したデフレ政策は株高(日経平均)9,108円⇒22,705円と、円安79円⇒107円を引き起こし、格差と貧困をもたらしました。さらに経済成長がなかったため税収も上がらず、政府債務は992兆円⇒1,216兆円とGDPの2,26倍となり、先進国では類を見ない悪い財政状態となった。次の世代である子や孫に借金のツケを回している。

 この先、日本が財政健全化を諦めてなければ、株高などで資産インフレの恩恵を受けた富裕層に対して増税していくしかないでしょう。

 7月の参議院選挙で政治基盤が安定した後、令和5年分以降の税制改正大綱がどのような増税策が講じられるか注目しなければなりません。

今回のロシア軍の侵攻やコロナ感染症の拡大で、日本経済の弱点が明確になりました。日本は2012年以降成長を目指したものの、本来の社会や企業のイノベーションが不発の終わり、勤労者の可処分所得が低迷し続けています。また日本の世界GDPのシェアも7%⇒6%に低下しています。
聞くところによると、コロナ資金の返済猶予や日本政策金融公庫の新たな融資も引続き行われるとのことです。
金融政策を続けることが果たして本当に国益のためになるか疑問です。

ロシア軍がウクライナに侵攻して1か月

投稿者 Bush吉田 2022年04月04日

 2月24日、ロシア軍がウクライナに侵攻してから1ヶ月が経過しました。

ウラジオストックや樺太の極東ロシアには、共産党(赤)に染まらず白系ロシア人と呼ばれていたスラブ系の人々がいました。
その多くがウクライナ人で、昭和の大横綱の大鵬関のお父さんもウクライナ人だったそうです。
また、1970年配給の、ソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニ主演の戦争の悲劇を描いたイタリア映画「ひまわり」では、広大なひまわり畑が印象的ですが、そのひまわり畑はウクライナ南部の激戦地で、ひまわりの下には第二次世界大戦で命を落とした多くの人々が埋まっているそうです。ウクライナは歴史上、蒙古(タタール人)の侵略など、度重なる戦場となっています。そして現在またロシア軍に侵略され修羅場と化しています。
日本では1945年の第二次大戦の無条件降伏から76年が経ち、平和が続いていますが、それは偶然だと思います。
この1ヶ月間、TV・ネット・新聞などの報道を目にしていますが、ロシアもウクライナも互いに正当性を主張していますが、武力で侵攻をした専制国家ロシア(独裁者プーチン)の暴挙としか思えません。
本来は国際連合(国連)が平和のための役割を果たすべきです。国連は第2次世界大戦の戦勝国中心で組織化しました。
その基本理念に、「戦争による領土の不拡大」とのコミットメントがあります。
今回のロシアによるウクライナ侵攻は国際連合が戦争抑止の役に立たないことを証明しました。
特に常任理事国であるロシアが戦争を仕掛けている以上、全く機能不全となります。
また、常任理事国であるアメリカ、イギリス、フランス、ソ連(ロシア)、中国は、すべてが核保有国であり、それらの国一国でも重要決定に対して否決権があります。
すなわち、常任理事国がいったん戦争を引き起こすと国連が機能不全に陥ってしまうのです。
核保有国であるインド・パキスタン・イスラエル・北朝鮮が本気で戦争を引き起こしたとしても、国連は手を出せないように思います。

プーチンはこの戦争が泥沼化し、政権が崩壊して自分が権力の座から降りなければならないと判断した場合は、核など大量破壊兵器を使用すると恫喝しています。
その言葉が本心ならば、全世界の人類の命よりも己の存続を優先してしまうという、常識では計り知れない独裁者です。
このように、現在は核兵器を手にした独裁者には、国連もどの核保有国も全く手出しができない世界になっています。

ウクライナも、かつては世界第3位の核大国でした。
しかし、1994年ブタペスト覚書の合意により、ベラルーシ、カザフスタンと共に核不拡散条約に加盟しました。同時にアメリカ、ロシア、イギリス、中国、フランスが、ウクライナなどの核放棄国に対して安全保障を約束しました。が、ウクライナが核を放棄したためか?ロシアによって侵攻されたのはなんとも皮肉なことです。

 最後に、ロシアが信じがたいような戦争を引き起こしたことは日本においても対岸の火事ではないと思います。
日本周辺には力による現状変更を企てる専制国家が現実に存在しています。
平和ボケしている日本にとって、ロシア侵攻は日本人に目を覚まさせる強烈な一発です。

2021年分確定申告に思う

投稿者 Bush吉田 2022年03月17日

 2021年分の確定申告も残すところ10件あまり、ようやく終わりが見えてきました。
完全終了までもう一息といったところです。
今年は3月14日から15日にかけて、国税庁への電子申告の送信が繋がりにくくなり、大変やきもきしましたが何とか15日中には電子申告が完了しました。
官も民もDX化への対応はまだまだということでしょうか?

 さて、今年の確定申告件数についてですが前年より10%以上も増加しました。
その要因の第一は、クライアントの方々が高齢化し所得税や消費税の税制が複雑で面倒だからやってくれ!というもの。

 第二としては、相続税申告を委任した方々がその相続した財産を譲渡したことによる譲渡所得が多くありました。
具体的には、相続開始日以後3年10か月以内の財産について、相続税の取得費加算の特例を適用したものです。
このような譲渡が多くなった理由は、相続税の納税で預金がなくなったことも要因の一つですが、不動産についていえば相続した不動産が高騰し、相続税評価額以上になったことも譲渡のインセンティブになったと思います。特に湘南エリアの不動産は、新型コロナの影響により、環境の良さから人気が上昇し、時価が著しく上昇しています。
ちなみに時価は相続税評価額の2倍程度でした。
これらから推測すると相続人は相続した住宅(空家)を使う予定がなく、人口減少化と先行き不透明な時代に借金によるリスクを背負ってまで有効活用する価値がないと判断したと思われます。いずれにしても不動産は使う予定がなければ保有コストがかかることもあり、換金することが多いようです。

 第三の要因としては、上場有価証券についての申告で、過去3年分の繰越損失を2021年分の譲渡益や配当金等で通算し、欠損金を帳消しにしている方が目立ちました。
過去の日経平均株価の推移をみると、2018年(安値19,155円~高値24,270円)、2019年(安値19,561円~高値24,066円)、2020年(安値16,552円~高値27,568円)、2021年(安値27,013円~高値30,670円)と、上昇しています。このように株価は、2018年2019年は横ばいでしたが、2020年は新型コロナ禍の影響で16,552円の安値となりましたが、後半には急上昇し、2021年が最も高値になっています。
この結果、2021年は株式投資家にとって相場環境は良い年になりました。
そのため、2021年に株式等の譲渡で損失が生じ、新たに「確定申告書付表(上場株式等に係る損益通算繰越損失の繰越控除用)」が必要な方は少ない年となりました。

 毎年の所得税確定申告で思うことですが、繰越損失が生じた場合にその控除ができる期間は3年です。控除できずに3年経過して繰越損失は失効してしまうケースがほとんどですが、今年はたまたま上場株式等の相場が上昇基調にあって繰越損失を取り戻した方が多くいました。

 最後に、贈与税の申告について、2021年度税制で暦年贈与が改正され増税化との情報がありました。その影響か生前贈与の一件当たりの課税価格が増加したものが目立っています。特に直系尊属から20歳以上の卑属に対すする多額な特定贈与が多くありました。
増税を見越した改正前の駆け込み贈与です。しかし、2022年度改正においても生前暦年贈与の改正が行われませんでした。
したがって、2022年分贈与についても今まで通りの規定です。

今年は参議院選挙の年、自民党はその選挙に必勝を念じ、その後の3年間に岸田内閣の基盤を固めようと考えていると思います。
国民への負担を課す増税は政権が安定した2023年からだと考えられます。
このところのコロナ感染への支援金や給付金で巨額な財政支出など、国家財政が悪化しています。その補てんのためには恵まれた資産家を狙い撃ちにした増税をするしかありません。
また、有価証券税制の増税も岸田内閣発足時に発言がありました。この有価証券譲渡益や株式等配当金の源泉所得税率のアップの可能性もあると思います。
なお、ウクライナへのロシア軍侵攻も経済にインフレなど悪影響を与え、この先不確実な状況が続くように思います。このところの円安の加速も気になります。

2021年

経営者向け保険の節税スキーム封じ

投稿者 Bush吉田 2021年06月01日

 国税庁は、2019年の「法人向け節税保険封じ」に引き続き、今年3月中旬に法人契約の「低解約返戻金型保険を利用した節税スキーム」を封じる追加見直しの検討に入り、4月28日にパブリックコメントで改正案を公表しました。改正は今月(6月)を予定しているようです。

 低解約返戻金型保険の特徴は、支払う保険料に対して大きく変動する「解約返戻金」の返戻率です。例えば、契約から数年間は払込保険料に対する解約時の返戻率が数%以下に抑えられている一方、その後は90%以上にまで跳ね上がるような保険商品があります。

税務上、保険契約を法人から個人に無償で名義変更した場合には、その時点の「解約返戻金」相当額に対して個人に所得税が課税されます。「解約返戻金」相当額で有償で名義変更すれば課税されません。
名義変更後に個人が保険契約を解約した場合に受け取る解約返戻金には「一時所得」として所得税が課税されます。「一時所得」の特徴は、計算の過程で所得を半分にする「1/2課税」が適用されることです。(計算過程で50万円を差し引く「特別控除」も適用されます。)
今回の改正は、これらの仕組みを利用した「低解約返戻金型保険を利用した節税スキーム」を封じる内容となっています。(復旧可能な払済保険も対象)

具体的に、「低解約返戻金型保険を利用した節税スキーム」の一般的な流れを簡単に説明してみます。
①まず会社で低解約返戻金型保険を契約します。(条件は次のとおり)
・年間保険料:500万円
・解約返戻率:4年目までは5%、5年目から90%
②解約返戻率が跳ね上がる前の4年目に保険契約を100万円(500万円×4年×5%)で役員に売却します。
・会社はこの時点までに累計1,900万円(500万円×4年-100万円)を経費にすることになります。
・この時点では個人に所得税は課税されません。
③名義変更後の5年目に個人で500万円の保険料を支払い後に解約して解約返戻金2,250万円(2,500万円×90%)を受け取ります。
この時点で個人に所得税が課税されますが、課税される金額はわずか800万円※となります。
※(2,250万円-100万円-500万円-50万円)×1/2

 会社と個人の状況により効果には差がありますが、役員報酬で会社の資金を個人に移すよりも税負担が軽減されることは明白です。払込保険料2,500万円に対して250万円(10%)は元本割れとなる点を考慮しても役員報酬で支給した場合と比較して手元に残る資金は断然多くなります。
 さらに踏み込んだスキームの一例として、③で解約せずに名義変更後の保険契約を払済終身保険に変更して相続税の非課税枠(500万円×法定相続人の数)を準備する相続税対策も行われています。(この場合③の所得税は課税されません。)

 「低解約返戻金型保険を利用した節税スキーム」は今までも是とされてきたわけではなく、合理性がない取引であることから否認リスクがあるとされてきました。生命保険会社もこのような節税スキームを前提とする保険商品の販売を禁止していますが、実際には多くの提案が行われ実行されているのが実情です。特に、2019年の「法人向け節税保険封じ」後の提案は増加傾向にあるように感じます。

 まだパブコメの段階ですが、現行の「解約返戻金」による評価を原則としつつ、解約返戻率に着目した例外的な評価を導入する改正内容となるようです。細かい説明は省略しますが、要は「節税スキーム封じ」ですから上記のようなスキームでの節税効果は狙えなくなることは確実でしょう。
 改正の対象となるのは、2019年7月8日以後に締結した保険契約であって、かつ、2021年7月1日以後に実行する名義変更等です。
 該当する保険契約がある場合には想定していた効果が期待できないことを前提に方向性を検討することになると思います。

 ところで、2019年7月8日以後の保険契約を改正の対象とするということは、2019年の「法人向け節税保険封じ」後の契約を対象とするということです。今までの改正では改正前の契約を対象とすることは基本的にはなかったのですが、国税庁としてはそもそも是としていたわけではないのだから遡及適用ではないというスタンスなのでしょう。私としては生命保険業界に対する国税庁の意思表示のようなものを少なからず感じます。
 相続税対策に利用されるケースがある介護費用保険に対する検討も始まっていると耳にしています。まだまだ国税庁と保険業界のいたちごっこは続くようです。

子や孫などへ贈与を考えているのであれば今年の3月末までがチャンス?

投稿者 Bush吉田 2021年02月09日

 昨年の12月に令和3年度(2021年度)の税制改正大綱が発表されました。この数年間、政府は富裕層への課税強化を継続的に議論しており、今回の税制改正大綱で孫への教育資金一括贈与の期間を延長とはしたものの、非課税となる適用条件を厳しくすることが決定しています。

 教育資金一括贈与とは、子や孫などへ1,500万円までの教育資金の贈与が非課税となる制度です。用途は「教育」と限定的ですが、一般的な贈与の非課税枠は110万円なのに対して、一度に大きい金額を贈与することができる利点があります。また、贈与後3年以内に贈与者が死亡した場合は相続税の課税対象になる可能性があるものの、祖父母から孫への贈与であったとしても相続税の2割加算の対象ではありませんでした。ここで注意していただきたいのは、3年以内に贈与者が死亡したからといって、必ず相続税の課税対象になるわけではないことです。「贈与された側が贈与者の死亡時に23歳未満である」等の非課税の条件があります。詳細は当事務所までお問合せください。

 しかし今年の4月1日以降に教育資金一括贈与を行うと、3月末までは「贈与後3年以内に贈与者が死亡した場合」のみとされていた相続税の課税対象期間が、「贈与後、贈与者の死亡までの年数にかかわらず」と変更になります。また、祖父母から孫への贈与の場合は相続税の2割加算の対象となります。非課税になる条件が全くないわけではありませんが、条件を満たさない贈与分には厳しく課税をしていくことに決定したようです。

 一般的な贈与(暦年贈与)についても、2022年度以降の税制改正で強化される可能性が出てきています。一般的な贈与では110万円までなら贈与税はかかりません。しかし、贈与者が亡くなってしまった場合は、「3年以内」に贈与された分は相続財産に含めて相続税を計算しなければいけないというルール(持ち戻し)があります。このルールが適用される期間が「5年以内」や「10年以内」というように課税強化をする可能性が高くなっています。昨年2月から続くコロナ禍で政府は様々な支援でお金(税金)を使っています。東日本大震災の時には復興特別税という形で復興支援金の財源を確保しました。新型コロナ収束への道筋が立たない中、今後政府はコロナ支援で使った財源の確保をしていくでしょう。そして日本経済が疲弊している中での課税強化の対象となるのは、やはり富裕層なのではないかと思います。

 もし教育資金の贈与を検討されているのであれば今年の3月末までに、また、一般的な贈与も令和3年度(2021年度)中に一度検討してみてはいかがでしょうか。